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朴槿恵大統領の「ユーラシア·イニシアチブ」
朴槿恵大統領の「ユーラシア·イニシアチブ」
スポークスマン, 2013-11-01

朴槿恵大統領の「ユーラシア·イニシアチブ」

一つの大陸·創造の大陸·平和の大陸
「北朝鮮開放 - 非核化を実現させるユーラシアの平和と繁栄」

  • ユーラシア(Eurasia)は、ヨーロッパとアジア大陸を合わせた領域を指す名称だ。面積はおよそ5492万㎢で、世界陸地の40%を占める。世界で78カ国がユーラシア大陸に位置しており、世界人口の71%に当たる人々が住んでいるが、その東の果ての国は大韓民国だ。

    民主平和統一諮問会議の議長である朴槿恵大統領は、10月18日にソウル新羅ホテルで開かれた「ユーラシアの時代の国際協力会議」の開会式に出席し、この巨大なユーラシア大陸を「一つの大陸」、「創造の大陸」、「平和の大陸」に築いていく「ユーラシア・イニシアチブ」を呼びかけた。これは、大韓民国を出発点とし、極東とシベリア·中央アジアを経て、ウラル - コーカサス山脈を越え、東·西ヨーロッパを貫通し、イギリスのロンドンまでつながる平和と繁栄の「ユーラシア時代」を切り開いていこうとする構想だ。

    朴大統領が描く「ユーラシア・イニシアチブ」は、世界の経済、外交、安保地形を根本から覆す壮大な構想だ。 その構想とは、紀元前から存在していた「シルクロード」、20世紀の東西冷戦によって断絶されたそのシルクロードを再び繋げ、「一つの大陸」という連帯性と力動性を活かし、単一経済圏、単一市場によって平和と繁栄を図っていこうというものである。世界のリーダーの中では珍しく真新しい発想として打ち出した、世界の「創造的再構築」と言える。

    朴大統領は、ユーラシアの平和・繁栄の構想を「シルクロードの復活」と称した。「東洋の製紙や陶器の技術を西洋に伝え、西洋の暦法を東洋に伝えた文明の交流と融合を通じて、文明の進歩をもたらしてきた「シルクロード」をユーラシアに再現しようとするものである。つまり、朴大統領の構想は、BC 200年前後、中国中原から始まり、河西回廊を横切ってタクラマカン砂漠に沿ってパミール高原、中央アジアの草原、イラン高原を過ぎて地中海に至る総長さ6,400㎞のシルクロードを新たに作りだそうとするものだ。

    朴大統領の「ユーラシア・イニシアチブ」は域内国の無尽蔵の可能性から出発する。 ユーラシア経済圏は、西にはEUとロシア、東には中国を含む北東アジアを含み、米州を除く北方経済の統合だ。ユーラシア共同体は南のアセアン(ASEAN)との結合も可能であることから、南方と北方経済の結合と言える。ひいては、NAFTA(北米自由貿易協定)までを含めば、世界経済の90%以上を占める巨大な市場が形成されることになる。韓半島はその巨大な市場のゲートウェイ(Gate Way)なのだ。

    朴大統領は、ユーラシアの潜在力について、「世界のエネルギー生産国と消費国が共存する地域の特性を生かし、域内の電力網、ガス管、油送管をはじめとするエネルギーインフラを連携して、中国のシェールガス、東シベリアの石油·ガスなどを共同開発するWin-Winのユーラシアエネルギー協力を推進しなければならない」と訴え、 「ユーラシア地域の物流、エネルギーネットワークの強化は、物流コストの削減と世界的な貿易の活性化だけでなく、グローバルな原材料価格の安定をもたらし、世界経済の成長に貢献することができる」と見通した。

    朴大統領が打ち出した「ユーラシア・イニシアチブ」のハイライトは、釜山〜北朝鮮〜ロシア〜中国〜中央アジア〜ヨーロッパを貫通する「シルクロードエクスプレス(SRX)」だ。「シルクロードエクスプレス」が接続されれば、スエズ運河経由でヨーロッパに運ばれる物流の輸送時間は、現在の45日から14日まで短縮される。機会費用が節約されることによって、投資余力が蓄積されるほか、海に出没する海賊と、エジプト、シリアなどの政治的不安要因を克服することができる。朴大統領がプーチン大統領と9月に行った韓・ロ首脳会談で、「釜山を出発して、ロシアを経てヨーロッパまで行く鉄道」について構想を述べたのが「シルクロードエクスプレス」だ。朴大統領がユーラシア会議で言及した北極航路も海のシルクロードに相当する。

    朴大統領の「ユーラシア・イニシアチブ」は既に実行され始めている。朴大統領は、9月に行われたプーチン大統領との韓ロ首脳会談で、「シルクロードエクスプレス」の接続を提案し、プーチン大統領は10月のアジア太平洋協力会議(APEC)で、南北貫通のガス管ではなく、東海海底にガス管を埋める事業を提案した。朴大統領の「ユーラシア・イニシアチブ」の提案が、「エネルギー - 物流ネットワーク」の構築という肯定的回答を引き出せたのだ。朴大統領とプーチン大統領は11月にソウルで首脳会談を行い、ユーラシア経済共同体のための青写真を具体化する予定だ。

    朴大統領は22日、ユーラシア国家であるコモロフスキ・ポーランド大統領と首脳会談を行い、両国は戦略的パートナーシップを結ぶことに合意した。朴大統領は、11月2日からフランス·イギリス·ベルギー·欧州連合(EU)などの西ヨーロッパを歴訪する予定だが、「ユーラシア・イニシアチブ」が主な議題となる見通しだ。新成長動力の拡充、文化・人的交流の拡大など、直ちに実現可能なテーマから議論を持ち出し、主要課題である物流の統合、単一市場の形成、平和の定着などについて順次議論を深めていく戦略を立てている。これはまさに、ユーラシアを<創造の大陸>に作り上げようとする朴大統領のイニシアチブなのだ。

    朴大統領の「ユーラシア・イニシアチブ」構想の結晶は、ユーラシア - 平和の大陸」だ。 そこには韓半島の未来を変える経済·外交ㆍ安保の価値が網羅されているからだ。ヨーロッパと西南アジア、中東に源を発するユーラシア共同体の巨大な平和・繁栄の波を、北朝鮮の改革・解放、北朝鮮の非核化、北朝鮮の人権改善の動力にしようというものだ。

    ユーラシア国家をテコに北朝鮮を説得し、説得に応じない場合は圧力を加えつつ、ユーラシア繁栄の「断絶区間」である北朝鮮を半強制的にでも接続する構えだ。北朝鮮は世界史上の大革命となるユーラシア共同体の機関車を止めることができるのか。「断絶と孤立、緊張と紛争を克服し、コミュニケーションと開放によって平和的な交流を図り、共に繁栄する新しいユーラシア建設」こそが、朴大統領が描く「平和の大陸-ユーラシア」だ。

    朴大統領は国政基調に「平和統一基盤の構築」を盛り込んだ初の大統領で、 任期中に平和統一の基盤を固めたいという意志を表した。就任後の韓・米、韓・中、韓・ロ首脳会談は、その意志を具体化したものと言える。米国、中国、ロシアは、朴大統領の韓半島信頼プロセスと韓半島の平和統一を支持した。米・中・ロ3カ国はすべて北朝鮮の核に反対しており、特に、米・中首脳は「北朝鮮を核保有国として認めない」と強調し、北朝鮮の核を無用の物にする構えだ。

    「信頼外交」を通じて、平和統一の支持基盤を拡大してきた朴大統領の「ユーラシア・イニシアチブ」は、北朝鮮を改革・開放に導き、非核化を図ることにより、平和統一の基盤を構築するという意志の集合体だ。韓半島信頼プロセスを通じて南北間の信頼を構築し、南北の住民が自由に往復する幸せな韓半島。これは北東アジアはもちろん、ひいてはユーラシアと世界の平和に貢献する平和統一に進もうとする創造的未来への歩みだと言える。

    統一は「災い」ではなく「幸運」だ。統一すれば、我々の技術で崩壊した北朝鮮の鉄道や道路、橋などのインフラ整備に大々的に始めなければならない。国防費の負担が減るため、年間10%以上の高成長が実現可能だ。青年失業は自然に解消され、男性の兵役義務も大幅減る。世界的な投資銀行であるゴールドマン·サックスは、南北統一によって韓国の技術と資本、北朝鮮の労働力と資源が結合されれば、30年から40年後には、フランス、ドイツはもちろん、日本までも超えることができるという報告書を発表した。

    統一は災いや負担ではない。朴大統領の「ユーラシア·イニシアチブ」の発表を機に、憲法に基づき、大統領の平和統一への意志を後押しして、国民の統一への力量を結集する民主平和統一諮問会議の役割について再度考えてみる。

    民主平和統一諮問会議首席副議長、ヒョン・ギョンデ